カルティエ(Cartier)は、なぜラグジュアリーを超えた存在なのか|男性カルチャーと映画、ブランドに宿る思想

世界5大ジュエラーのひとつであり、王族やセレブリティから愛されるCartier(カルティエ)。しかしこのブランドの存在感は、単なる高級ブランドという枠を超えている。それはなぜか。

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本稿では、カルティエの時計に焦点を当てて、ラグジュアリーの先へ進んだ思想、男性カルチャーとの接続点、映画やスクリーン上での象徴性、そして日本における最新プロジェクト 「Not Round, But Santos」 まで含めて読み解いていく。

目次

ラグジュアリーを超えた存在としてのカルティエ

歴史と王族の関係によって築かれた文化的希少性

カルティエは1847年、フランスで創業。その後、英国王エドワード7世から「王の宝石商、宝石商の王」と称され、王侯貴族御用達としての地位を確立していった。

これによってカルティエは、単なるモノではない社会的記号を獲得した。「宝飾品を超えた文化的価値」を持つ存在となった。ブランドアイコンには、宝飾・時計・それらが持つ意味としての象徴性があり、「文明史・社会史」の中で語りえるレベルの存在になっている。重要なのは、これらが過去の権威ではなく、現代においても「信頼のフォーマット」として機能し続けている点である。

デザイン史の中で美の規範になった存在

カルティエのデザインは、単なる装飾ではなく時代の美学を体現し、更新してきた。例えば、「タンクウォッチ(1917年発表)」「サントスウォッチ(1904年、世界初の実用的腕時計とも言われる)」「トーチュ」「パシャ」などの多様なアイコンが挙げられる。

これらはただのモノではなく、機能・装身・記号性を同時に獲得するデザインとして歴史的評価を受けている。カルティエほど「装飾と機能、歴史と未来が同時に語れるブランド」は希少だろう。ロレックスが精度と信頼性の物語を、オメガが技術史を語るブランドだとすれば、カルティエは思想と美意識を語るブランドだ。

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カルティエはなぜ男性カルチャーにも浸透したのか

宝飾=女性という一般的な文脈を超えて、カルティエが男性カルチャーに深く浸透しているのは、実用性とエレガンスの共存があるからだろう。

男性用腕時計としてのパイオニア性

1904年、アルベルト・サントス=デュモンのために作られた「サントス」は、世界で初期の実用腕時計のひとつとされるコレクションであり、そのデザインの直線・角・可読性は当時の懐中時計文化への明確な回答だった。

この機能とスタイルの両立は、男性が求める実用性とエレガントさという、相反するベクトルを同時に満たすプロダクトとして機能した。

時計という道具の象徴性

カルティエの時計は、ただ時間を測るツールではなく、その人の立ち位置を示す記号として世界中で受け入れられていった。

例えば、クラシックな「タンク」モデルは、政治家・作家・映画監督・音楽家など、クリエイティブ、且つ知性を評価される男性が好んで着用してきた歴史がある。その背景には、単に高価だからではなく装着者の内面世界を語る言語としてのカルティエが存在している。

現代の男性カルチャーにおいては、カルティエは強さの誇示ではなく、「選択の理由が語れるラグジュアリー」として機能している。

映画の中のカルティエ

カルティエは映画の中でも、明確な台詞がなくても登場人物の性格・立場・文脈を瞬時に示すツールとして使われてきた。映画では、服装やアクセサリーは観客に補助線を引く役割を果たす。中でも、カルティエは、その補助線を極めて短い時間で伝達できるブランドとして機能している。

例えば、冷静で知的な成功者、圧倒的な財力を持つ権力者、複雑な背景を持つ主人公などの手元にあるカルティエの時計やリングは、何を語るかという台詞以上の暗黙の解釈を与えている。これはブランドを単なる装飾としてではなく、物語生成の役割を果たすブランドとして扱う視点だと言えるだろう。

「Not Round, But Santos」

2025年12月17日 – チタニウム新作とカルティエの丸くない哲学

2025年12月17日、カルティエは「サントス ドゥ カルティエ」の新作チタニウムモデルを発表し、「NOT ROUND, BUT SANTOS」を掲げたヴィジュアルとムービーを公開した。

このコピーは直訳すれば「丸いのではない、サントスだ」。つまり、丸型という今となっては一般的な時計デザインの常識から逃れ、角・直線・個性という思想性を肯定する宣言だ。

このコンセプトは単なる製品コピーではなく、カルティエが長年にわたり守り続けてきた「個性 ≠ 流行」という価値観を象徴している。イベントには俳優・松田翔太や村上虹郎ら多ジャンルのクリエイターが参加し、丸くない個性という共通項で集まったことで、カルティエが単に高級ブランドとしてではなく、クリエイターカルチャーの交差点としても機能していることを可視化した。

「Not Round, But Santos」という言葉は、形状の話ではない。それはカルティエが創業以来貫いてきた、「多数派に迎合しない」という姿勢そのものだと感じる。

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