ブラジル・サンパウロといえば、世界有数のグルメ都市。ミシュラン星付きの高級レストランから屋台のストリートフードまで、そのバリエーションはまさにグローバル。しかし、そんな中でも「本当においしい」と語られているレストランが存在。今回は、“知る人ぞ知る”サンパウロの美食スポットを紹介する。

Mescla Restaurante
ブラジル・サンパウロのバーハ・フンダ地区に位置する「Mescla Restaurante」は、ボリビア出身のシェフ、チェチョ・ゴンザレス(Checho Gonzales)によって2019年に開業されたレストラン。彼はサンパウロで長年に渡りラテンアメリカ料理を提供しており、Mesclaでは彼のルーツであるアンデスの味とブラジルの食材を融合させた独自の料理を楽しむことができる。
シェフとコンセプト
チェチョ・ゴンザレスは、ピニェイロス市場の「Comedoria Gonzales」での活動を経て、Mesclaを開業。彼の料理は、アンデスの伝統とブラジルの食材を組み合わせた創造的なもので、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの影響を受けている。レストランは、ガレージを改装したシンプルで温かみのある空間で、オープンキッチンと共有テーブルが特徴的。
メニューの特徴
Mesclaのメニューは季節ごとに変わり、日替わりランチ「Mesclinha」やシェアスタイルのディナーが提供されている。代表的な料理には以下のようなものがある:
- 白身魚のセビーチェ:カンブク魚、トマトジュース、ライム、紫玉ねぎ、コリアンダー、ピリ辛のチリ、カリカリのポテトチップスを使用。
- 豚のスペアリブ:コリアンダーソース、フェイジョン・フラジーニョ(黒目豆)、セラ・ダ・カナストラ産チーズ、バナナ・ダ・テーラ、トマト、ポテトを添えて提供。
- ルラの詰め物:生ハムとキノコを詰めたイカを、トーストしたブリオッシュ、ハウスメイドのマヨネーズ、ハーブのビネグレットとともに提供。
- 白身魚のポシェ:レモンとカシューナッツミルクのソース、キャラメリゼしたカボチャ、オリーブのビネグレット、カシューナッツのファロファを添えて提供。
- チョコレートムース:マンゴーとパッションフルーツのキャラメル、カシューナッツのクランブルをトッピング。
また、持ち込みワインも可能で、持ち込み料はR$45。


評判と雰囲気
Mesclaは、Googleで4.6/5、TripAdvisorで4.0/5の高評価を得ていて(2025.05地点での評価)、料理の創造性と温かみのある雰囲気が評価されている。
オープンキッチンと共有テーブルが特徴で、まるで誰かのリビングルームで食事をしているような感覚を味わうことができる。サンパウロでラテンアメリカの味を堪能したい方には、おすすめのスポット。

営業時間とアクセス
- 住所:Rua Sousa Lima, 305, Barra Funda, São Paulo
- 営業時間:
- 月曜日〜木曜日:12:00〜15:00
- 金曜日:12:00〜16:00、19:00〜23:00
- 土曜日:12:00〜23:00
- 日曜日:12:00〜18:00
Vista Restaurante
Vista Restauranteは、イビラプエラ公園を一望できる絶景のロケーションと、洗練されたブラジル料理が楽しめるレストラン。現代美術館(MAC USP)の最上階に位置し、360度のパノラマビューを提供している。
シェフとコンセプト
現在、Vistaのキッチンを率いるのはシェフのペドロ・オリヴェイラ(Pedro Oliveira)。彼は、ブラジルの5つの地域(北部、北東部、中西部、南部、南東部)の食材と伝統を融合させた料理を提供している。ランチタイムには「エグゼクティブメニュー」として、各地域の特色を活かした料理をバランスよく組み合わせたセットメニューを展開しているのも特徴的。
また、2023年には新たにシェフのトゥカ・メッゾモ(Tuca Mezzomo)が加わり、Vistaの料理にさらなる多様性をもたらしている。彼はリオ・グランデ・ド・スル州出身で、ブラジルの多様な食文化を取り入れた料理を提供。彼の就任により、ブラジルの多様な食文化をより深く探求するレストランへと進化している。
メニューの特徴
ブラジル各地の伝統料理を現代的にアレンジした多彩なラインナップが特徴的で、以下が代表的な料理。
メインディッシュ
- レイトア・ア・プルルカ(Leitoa à Pururuca):土曜日限定で提供される、カリカリに焼き上げた豚肉のロースト。トゥトゥ(豆のピューレ)とケールのソテーが添えられる。
- ロブスターのモケッカ(Moqueca de Lagosta):日曜日限定の料理で、ロブスターをココナッツミルクとデンデオイルで煮込んだバイーア風シチュー。ライスとデンデオイルのファロファが添えられる。
- ピラルクのグリル(Pirarucu Grelhado):アマゾンの淡水魚ピラルクをグリルし、マニオクのピューレやトーストしたパルミット、チャード、トゥクピソースとともに提供される。
- アロス・デ・パト・ノ・トゥクピ(Arroz de Pato no Tucupi):パラ州の伝統料理を再解釈した一品で、トゥクピ(キャッサバの発酵汁)で炊いた米に鴨肉を合わせ、ジャムブーとコリアンダーで風味付けされている。
- マッシュルームとトゥクピのリゾット(Arroz de Cogumelo com Tucupi):ビーガン対応の料理で、トゥクピで炊いた米にソテーしたマッシュルーム、ジャムブー、コリアンダーを合わせた一品。
前菜とカクテル
テラスでは、以下のような前菜やカクテルを楽しむことができる。
- カマラオン・ナ・モランガ(Camarão na Moranga):エビをカボチャとデンデオイルで煮込み、カトゥピリチーズを加えた一品。ライスとシューストリングポテトが添えられる。
- カスキーニャ・デ・シリ(Casquinha de Siri):カニ肉をココナッツミルク、玉ねぎ、赤ピーマン、トマトで煮込み、デンデオイルのファロファとともに提供される前菜。
- オリジナルカクテル:Vistaでは、ブラジル各地のスピリッツやフルーツを使ったオリジナルカクテルが豊富。





評判と雰囲気
ミシュランガイド2024に掲載。また、TripAdvisorのTravellers’ Choiceを2022年と2023年の2度受賞している。 さらに、Veja Comer & Beberで「ブラジル料理部門」など複数の賞を受賞。
店内は、木材を多用した温かみのあるインテリアで、自然光が差し込む開放的な空間が広がっている。テラス席では、イビラプエラ公園やサンパウロ市街のパノラマビューを楽しみながら食事をすることができる。

営業時間とアクセス
- ランチ:
- 火曜日~金曜日:12:00~16:00
- 土曜日:12:00~16:00
- 日曜日:12:00~17:00
- ディナー:
- 火曜日~土曜日:19:00~23:00
- Vista Balcão(バーエリア):
- 火曜日~金曜日:17:00~23:00
- 土曜日・祝日:16:00~23:00
- 日曜日:16:00~20:00
【その他記事】南米最大級の美術館「MASP(サンパウロ美術館)」の概要とおすすめアートを徹底紹介
A baianeira
A Baianeiraは、ブラジルの伝統料理をモダン風にし、家庭的な雰囲気の中で提供するレストラン。サンパウロで本格的なブラジル料理を楽しみたい人には、ぜひ訪れてほしいお店。
シェフとコンセプト
シェフ、マヌエレ・フェハス(Manuelle Ferraz)は、ブラジルの伝統料理を現代的に再解釈することで知られている。
ミナスジェライス州のアルメナラで生まれ育ち、バイーア州との州境に位置するこの地域の文化と料理に深く影響を受けた。元々は弁護士として活動していたが、料理への情熱からキャリアを転換。ニューヨークでの修行を経て、ブラジルに戻り、料理人としての道を歩み始めた。ニューヨークでは、STKやBagatelleなどのレストランで経験を積み、ブラジルでは著名なシェフ、アレックス・アタラのレストランD.O.M.でも働いてきた。
2018, 2019年には「Chef Revelação(注目のシェフ)」として「Melhores do Ano da Prazeres da Mesa」を受賞、2019年には「Folha de S. Paulo」の「O Melhor de São Paulo」で「最も家庭的なレストラン」に選出。彼女の「A Baianeira」は、価格以上の満足感が得られるレストランとして「ビブグルマン」に選出されている。
伝統と革新を融合させた料理で、ブラジルの食文化を国内外に発信し続けている。
メニューの特徴
A Baianeiraでは、ミナスジェライス州とバイーア州の伝統的な料理をベースに、シェフの創意工夫が加えられたメニューを提供している。地元の食材を活かし、家庭的ながらも洗練された味わいが特徴。
地元の生産者からの持続可能な食材調達を重視し、地域経済の支援にも力を入れている。MASP店では、ブラジル各地の工芸品を取り入れた装飾や、伝統的な料理の現代的なプレゼンテーションを通じて、芸術と料理の融合を図っている。
代表的な料理には以下のようなものがある:
- パン・デ・ケイジョ(チーズパン):クリーミーなゴートチーズとズッキーニのビネグレットを詰めたものや、煮込み牛肉と目玉焼きを詰めたバージョンなど、多彩なバリエーションあり。
- バイアォン・ジ・ドイス(Baião de Dois):黒目豆と米を組み合わせた伝統料理で、煮込み肉やコリアンダークリーム、バター風味のファロファが添えられている。
- ガリンハーダ(Galinhada):鶏肉をオクラ、ブロッコリー、葉野菜とともに煮込んだ料理で、家庭的な味わい。
- フェイジョアーダ(Feijoada):木曜日限定で提供される、ブラジルの代表的な黒豆と豚肉の煮込み料理。
- プランテン・クレームブリュレ:デザートには、プランテン(調理用バナナ)を使ったクレームブリュレが人気。





評判と雰囲気
先述の通り、ミシュランガイドでは、コストパフォーマンスに優れたレストランに与えられる「ビブグルマン」に選出されている。2019年、「O Melhor de São Paulo」賞で「最も家庭的なレストラン」に選ばれ、2021/2022年版の「Comer & Beber」ガイドでは、ブラジル料理部門のベストレストランに選ばれた。

営業時間とアクセス
1. A Baianeira – バーラ・フンダ店
- 住所:Rua Dona Elisa, 117, Barra Funda, São Paulo, SP
- 営業時間:
- 火曜日~金曜日:11:30~14:30
- 土曜日:12:00~15:00
- 日曜日・月曜日:定休日
- 特徴:この店舗は、ガレージを改装した小さなスペースから始まり、現在では28席を備える温かみのある空間となっている。持ち込みワインも可能で、持ち込み料はR$40。
2. A Baianeira – MASP店
- 住所:Avenida Paulista, 1510, MASP 地下2階, São Paulo, SP
- 営業時間:
- 火曜日~金曜日:11:30~15:00
- 土曜日・日曜日:11:30~16:00
- 月曜日:定休日
- 特徴:サンパウロ美術館(MASP)の地下2階に位置し、ブラジル各地の工芸品で装飾されたリラックスした雰囲気の中で食事が楽しめる。また、Néli Pereira氏が手がける特別なカクテルメニューも提供。
Jiquitaia
「Jiquitaia(ジキタヤ)」は、ブラジル・サンパウロのパライーゾ地区に位置する、伝統的なブラジル料理を現代的にしたレストラン。シェフのマルセロ・コヘア・バストス(Marcelo Corrêa Bastos)によって2012年に創設され、地元の食材と郷土料理を活かしたメニューで人気を博している。
シェフとコンセプト
マルセロ・コヘア・バストスは、パラナ州ロンドリーナ出身のシェフ。ブラジルの伝統料理を深く研究し、現代的なアプローチで人気を博す。彼の料理は、カイピーラ(内陸部の農村)文化に根ざした食材や技法を取り入れ、地域の風土や歴史を感じさせるものとなっている。また、彼は「A culinária caipira da Paulistânia」という書籍の共著者でもあり、ブラジルの食文化の継承と革新に貢献している。
メニューの特徴
ランチタイムにはお得な「Menu Almoço(ランチメニュー)」があり、前菜、メイン、デザートのセットが提供されている。価格はR$89。 代表的なメニューは下記。
- モケッカ(Moqueca):魚とエビを使ったバイーア風のシチューで、ココナッツミルクとデンデオイルの風味が特徴。
- アロス・デ・パト・ノ・トゥクピ(Arroz de Pato no Tucupi):鴨肉とトゥクピ(キャッサバの発酵汁)を使った北部ブラジルの伝統料理。
- ボチェッシャ・デ・ポルコ(Bochecha de Porco):豚の頬肉をグリルし、ピメンタ・デ・シェイロ(香り高い唐辛子)とパモーニャ(トウモロコシの蒸しケーキ)を添えた一品。
- フェイジョアーダ(Feijoada):黒豆と豚肉の煮込み料理で、土曜日限定で提供される。
- レイトア・ア・プルルカ(Leitoa à Pururuca):カリカリに焼き上げた子豚のローストで、日曜日限定のメニュー。
ブラジル各地から厳選されたカサーシャ(サトウキビの蒸留酒)の豊富なセレクションを誇っていて、これらをベースにしたオリジナルカクテルも多数提供。
- カイピリーニャ(Caipirinha):ブラジルを代表するカクテルで、ライムと砂糖、カシャッサを使用。
- カジュ・アミーゴ(Caju Amigo):カシャッサ、カシューフルーツのコンポート、ライムを組み合わせた一杯。
- ジキタヤズ・ブラッド(Jiquitaia’s Blood):トマトジュース、ジン、シェフ特製のスパイスミックスを使ったスパイシーなカクテル。

評判と雰囲気
ミシュランガイドに掲載されており、家庭的でありながら高品質なブラジル料理を提供するレストランとして評価されている。地元のグルメガイド「Veja São Paulo」では高評価を受けていて、特に「Quiabada com Camarão(オクラとエビの煮込み)」や「Bochecha de Porco(豚の頬肉)」などの料理が紹介されている。また、2024年には、SP Gastronomiaの「ベスト・ブラジリアン・レストラン」に選出された。
1950年代の邸宅を改装した建物で、木材を多用した温かみのある内装と、壁に飾られた美しい写真が特徴的。


営業時間とアクセス
- 住所:Rua Coronel Oscar Porto, 808, Paraíso, São Paulo, SP
- 営業時間:
- 火~金曜:12:00~15:00、19:00~22:30
- 土曜:12:00~16:00、19:00~22:30
- 日曜:12:00~16:00
- 月曜:定休日