【NIKE X2】ワールドカップ2026を彩るコラボユニの総まとめ(Jacquemus、PATTA、Palace、など)

FIFAワールドカップ2026で、ナイキが仕掛けた「X2」という企画が大きな話題を生んだ。7つの代表チームと、7組のクリエイター、そして7つのコミュニティを組み合わせたこのプロジェクトは、単なる代表ユニのカラバリ違いではなく、各国のストリートカルチャーやファッションシーンを代表するブランド・デザイナーが、それぞれの母国代表を独自の目線で再解釈してデザインに落とし込んでいるのがポイントだ。プレマッチジャージ、アンセムジャケット、そして往年のスパイクを日常履き用に落とし込んだ「Cryoshot」という新スニーカーまで、ラインナップはかなり幅広い。

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企画の発起人はナイキのグローバル・シニア・ブランドディレクター、Hami Delimi。もともとはDrakeのNOCTAとカナダ代表のコラボから始まったプロジェクトが、気づけば7カ国規模に広がったという経緯があるらしい。リリースは6月11日から段階的にスタートされ、コラボブランド先の直営店を皮切りに、6月13日にDover Street Market、6月16日にSNKRSや一部ナイキ取扱店という3段階の展開になっている。

本記事では、話題になっている7カ国分のコラボを全てまとめていく。

目次

アメリカ×Virgil Abloh Archive「The Stars & Stripes」

自国開催となる2026年大会、アメリカ代表が組んだのはVirgil Abloh Archive(V.A.A.)。2021年に急逝したVirgil Ablohの功績を継承する団体で、Off-Whiteの創業者であり、ルイ・ヴィトンのメンズアーティスティックディレクターも務めた人物だ。

コンセプトは’94年大会へのノスタルジー。前回アメリカがW杯を開催した1994年の大会をモチーフに、当時のグラフィックをヴァージル流のデザインで再構築している。白ベースに大胆なグラフィック、ブルーの襟、”FOOTBALL AMERICA”の文字が入ったロングスリーブポロなど、Off-White時代を彷彿とさせるアイテムが並ぶ。

Cryoshotは、女子代表のレジェンドMia Hammが履いていたZoom M9がベース。ティザー映像にはHamm本人とTravis Scottが登場するなど、演出にも力が入っている。支援先はコミュニティ団体のCoalitions for Sport Equityで、都市部の子どもたちがスポーツにアクセスしやすい環境づくりを後押しする狙いだ。亡くなったデザイナーの名前を冠したプロジェクトということもあり、単なる商業コラボというより、一つの追悼企画としての側面が強い。だからこそ、ファンの受け止め方もどこか特別なものになっている。

Virgil Abloh Archive (V.A.A.) × Nike Cryoshot M9 “World Cup/United States/White”

フランス×Jacquemus「Les Bleus by Jacquemus」

個人的に今回のX2で一番らしさが出ていると思うのがこれ。パリの高級ブランドJacquemusと、フランス代表によるコラボ。デザイナーのSimon Porte Jacquemusは、実は2018年大会のときからナイキ・フランス代表と縁がある人物。当時Jean-Paul Goude撮影のもと、ブルターニュ柄のトップスを着てアンバサダーを務めていた過去があり、今回はついに代表のユニフォームを手がける側に回った形となる。

コレクションのベースになっているのは、Jacquemus自身が子どもの頃に持っていたというヴィンテージのネイビーのナイキ・トラックスーツ。派手なグラフィックには寄らず、深いロイヤルブルーに赤白のピンストライプ、フランス代表とJacquemusを組み合わせたエンブレムという、あくまで上品にまとめたデザインが特徴だ。トリコロールを声高に主張するのではなく、さりげなく織り込んでいく手法は、いかにもJacquemusらしい。

Cryoshotは、ロナウジーニョが履いていたことでも知られる2005年のTiempo R10がベース。白を基調に赤と青のスタッズをアクセントにしている。支援先は、スポーツを通じて若者を支援する団体Sport dans la Ville。Mbappé、Dembélé、Doué、Thuramといった主力選手のビジュアルも公開され、サッカーとファッションの交差点をまた一つ塗り替えた格好となった。

Jacquemus × Nike Cryoshot Tiempo R10 “World Cup/France/White”

オランダ×PATTA「Unmatched Pre-Match」

アムステルダム発のストリートブランドPATTAとオランダ代表の組み合わせ。PATTAはナイキとの長年の関係でも知られるブランドで、共同創業者のGuillaume “Gee” SchmidtとEdson Sabajoが今回のディレクションを担当している。

デザインの核になっているのは、オランダの象徴でもある獅子(ライオン)のモチーフと、ゴールドのチェーン柄の組み合わせ。ネイビーに近いダークな地色に、オレンジのライオンとゴールドチェーンを散りばめたグラフィックは、これまでのオランダ代表のユニではあまり見なかった攻めた仕上がりになっている。撮影はFantastic Man誌のDavid Simsが担当し、キャプテンのVirgil van Dijkがモデルを務めた。PATTAの創業者いわく、今回のコンセプトのヒントになったのは「自分たちのルーツ」と「多様なバックグラウンドが集まって一つのチームになっているオランダ代表」の共通点だったという。移民の国オランダらしい視点だ。

Cryoshotは1998年のMercurialがベース。支援先の団体名は明言されていないが、他国同様に地域のユース育成団体と連携する仕組みになっている。

Nike Cryoshot Mercurial Vapor R9 x Netherlands x Patta

カナダ×NOCTA「Les Rouges」

DrakeのブランドNOCTAとカナダ代表のコラボは、実はX2プロジェクト全体の出発点になった組み合わせだ。ナイキのブランドディレクターが最初に企画したのがこのペアリングで、そこから6カ国分に企画が広がっていったという経緯がある。タイトルはLes Rouges(赤い人たち)。カナダの国旗をモチーフにした赤を基調に、自然や国のシンボルを取り入れたストリートウェア寄りのデザインとなっている。パフォーマンス寄りのデザインアプローチで知られるNOCTAらしく、実用性と洗練さを両立させた仕上がりだ。

Cryoshotは1994年のTiempoがベースで、ゴールドに黒のアクセントを効かせたカラーリング。支援先はジェンダー平等を掲げる団体Canadian Women & Sportで、女性のスポーツ参加機会を広げる活動を後押ししている。北中米で開催される今大会、カナダは開催国の一つとしても注目度が高い。近年急速に力をつけているカナダ代表の勢いとも重なって、このコラボの完成度の高さがより際立つ結果になった。

Nike x Canada x NOCTA Cryoshot Tiempo ’94 University Gold / Black

イングランド×パレス「The Three Lions」

ロンドン発のスケートブランドPalaceとイングランド代表のコラボ。PalaceといえばJuventusとの2019年のコラボでも知られるが、サッカーとの相性の良さは今回も健在だ。デザインのモチーフは、言うまでもなくセントジョージ・クロス。タイトなシルエットの速乾素材トップスに、胸元に大きくブランドロゴとイングランド代表のエンブレムを並べたグラフィックが特徴になっている。派手すぎず、それでいて存在感のあるバランス感覚は、いかにもPalaceらしい仕上がり。

CryoshotはヴィンテージのAir Speed Mをベースに、なめらかな合成レザーとスポーツカラーを組み合わせたデザイン。支援先はFootball Beyond Bordersという団体で、サッカーを通じて若者の教育機会を広げる活動をしている。

PALACE SKATEBOARDS x Nike Cryoshot Air Speed M SP

ナイジェリア×Slawn「The Super Eagles」

今回のX2で唯一、本大会に出場していない国のコラボ。ナイジェリア代表は2026年大会への出場権を逃しているものの、話題性という意味ではむしろ一番注目を集めているかもしれない。手がけたのはロンドン在住のナイジェリア出身アーティスト、Olaolu Slawn。グラフィティ的でラフな手描きタッチが持ち味の人物で、スーパーイーグルスの象徴である翼のモチーフを、荒々しくも力強いタッチで描き直している。整った印象のあるほかのコラボと比べると、良い意味で一番崩れていて、Slawnらしいエネルギーがそのまま服に落とし込まれている。

Cryoshotのベースは、なんとナイキ史上最古のサッカースパイクである1976年のStriker。これをキャンバス素材で再現し、Slawn本人のイラストをそのままプリントするという大胆な作りだ。支援先はBravehearts Ladies Foundationで、若い女性たちがスポーツを通じてエンパワーメントを得られる環境づくりを支援している。本大会に出られないという事実が逆にコラボの熱量を後押ししている感じもあり、出場していない国のコラボが一番バズるという、なんともストリートカルチャーらしい現象が起きている。

Olaolu Slawn × NIKE CRYOSHOT “World Cup/Natural”

韓国×PEACEMINUSONE「Tigers of Asia」

そして忘れてはいけないのが、G-Dragon率いるPEACEMINUSONEと韓国代表のコラボだ。PEACEMINUSONEといえば、ナイキとは過去にKwondo 1やAir Force 1のコラボでも組んでいる間柄で、今回のX2でもその関係性がそのまま活きた形になる。

タイトルはTigers of Asia。韓国代表の愛称でもある虎を、ブランドロゴにもなっているデイジー(daisy)のモチーフと組み合わせ、伝統的な韓国のワークウェアの要素まで取り込んだデザインに仕上げている。ブラックベースのプレマッチシャツには、背面に大きく赤いタイガーのグラフィックが描かれ、韓国サッカーが長年培ってきたアイデンティティを、PEACEMINUSONE流の目線でデザインに落とし込んだ形になっている。K-POPという世界的なカルチャーの発信源でもあるG-Dragonが手がけたことで、サッカーファンだけでなく、音楽やファッションのファン層にも一気にリーチを広げた格好だ。ソウルでは先行して展示イベントも開催されるなど、韓国国内での盛り上がりも一際大きい。

Cryoshotのベースは2010年の名スパイクCTR360 Maestri II。ナチュラルなオフホワイトに、経年変化を思わせるスウェード素材と刺繍・プリントブランディングを組み合わせ、赤のアクセントを効かせている。アンセムジャケットはデイジー柄がプリントされた総柄仕様で、実際にHwang Hee-chan(ファン・ヒチャン)ら代表選手が試合前後に着用する姿も確認されており、X2企画の中でも一番”見える”アイテムの一つになった。

PEACEMINUSONE × Nike Cryoshot CTR360

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なぜここまで話題になっているのか

X2の企画がここまで注目される理由は、単純に有名ブランドとコラボしたからだけではない。ポイントは大きく3つ。

代表チームごとのカルチャーがある

どのコラボも、単に代表のカラーを使っただけのデザインではなく、その国のストリートやファッションシーンの文脈をちゃんと踏まえている。PATTAがオランダの移民文化を意識したように、Slawnがナイジェリアの生々しいエネルギーをそのまま表現したように、各ブランドが自国の代表を翻訳する役割を担っているのが今回の肝だ。

コミュニティ支援という軸

どのコラボにも、それぞれ地域のユーススポーツ団体が紐づいている。単なる商品展開で終わらせず、若者のスポーツアクセスやジェンダー平等といった社会的なテーマを組み込んでいるのは、近年のスポーツブランドのコラボ企画としては珍しくない流れだが、7カ国分を同時にやりきったスケール感は評価していいところだろう。

サッカーとハイファッション、ストリートの境界

Jacquemusのような高級ブランドから、PalaceやPATTA、NOCTAのようなストリートブランド、Slawnのようなアーティストまで、レイヤーの異なるカルチャーを一つの企画の中で横並びにしたのも今回の面白いところ。サッカーユニがもはやピッチの中だけのものではなく、ファッションアイテムとして日常に溶け込んでいることを象徴する動きだと言えるだろう。

スペインの優勝で幕を閉じたW杯2026年だが、今後もサッカーの大きなイベントとともに、このようなブランドのコラボレーションやファッション観点での驚きに期待したい。

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